今、小学生が開発したランドセルをキャリー化した「さんぽセル」が話題になっている。
商品そのものよりも「大人VS子供」の論争が話題になってしまっているが、このニュースを見て、過去の自分を思い出した。
「ランドセルが重い」という小学生に対して、「分かるよ、その気持ち。俺も小学生の頃…」と回想してみたが、あの頃の俺は、学校の机に教科書を全部置きっぱなしにしていた。
保護者宛に配られたプリントも持って帰らずに机に入れっぱなしにして、親と先生にダブルで怒られていたぐらいだったので、基本的にランドセルは軽かった。
では、「さんぽセル」のニュースを見て、俺は一体、いつの自分を思い出したのか?
まずはこちらの写真をご覧下さい。
↑徒歩日本一周の旅に出てすぐの時の俺である(当時22歳)。
一人旅やアウトドア経験がまったくなかった俺は、思いつくすべてのものをバックパックに突っ込むしかなかった。
歩き旅の場合、すべての荷物を自力で運ばなくてはならない。
この重い荷物をどうやって運ぼうかと考えた結果、キャリーに載せて引っ張りながら歩く方法を思いついた。
「ランドセルが重い」という小学生に対して、「分かるよ、その気持ち。俺も徒歩日本一周の旅に出た時…」という部分で、過去の自分と重ねながら共感することができた。
キャリーを使うことで重い荷物を楽に運ぶ作戦であったが、実際に旅に出てから分かったことは、キャリーを使うことが、思った以上にストレスになった。
理由は以下の5つ。
②歩道橋の階段を登るとき、結局、持ち上げなくてはいけない。
③上り坂は逆にきつい。
④キャリーを引っ張る分だけ歩行の幅が広がるため、他の通行人の迷惑になる。
⑤歩くスピードが遅くなり、距離を稼げない。
いろいろと試行錯誤した結果、荷物を極限まで軽量化して背負って歩くことに決め、キャリーは、出発後一週間で手放した。
そんな経験がある俺だが、「さんぽセル」に対して否定派かといえば、そうでもない。
なぜならば、重い荷物を背負って歩くことの大変さを俺は痛いほどよく知っているからだ。
当時の俺みたいに知らない土地を毎日何十キロも歩くわけではないので、通い慣れた通学路だけを歩くだけであれば、安全面を考慮した上で、状況によって使い分ければ、全然ありではないだろうか。
現段階の「さんぽセル」のクオリティも高いものだと思うし、今後、改良もされていけば、より使いやすく進化していくことも可能だろう。
ただ、開発者の小学生の最終的な本当の願いは、今より荷物が軽くなって「さんぽセル」が不要の時代になって欲しいとのことだった。
そういう意味でも、今回の「さんぽセル事件」に関して、大人派でも子供派でもない徒歩日本一周派の俺としては「荷物は軽いにこしたことはない」という考えには大賛成である。
大場祐輔 1981年埼玉県生まれ。 大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロの距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをしながら食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 数々の出版社に原稿の持ち込みを開始。
それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」を出版。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」