一般的に「コミュ障」というと、人見知りとか、人と話すのが苦手とか、医学用語というよりも、ネットスラング的に軽い意味合いで使われることが多いと思います。
そういう意味では、僕はコミュ障に近いのかなと思います。
初対面の人に壁を感じます。
話しかけられるようになるまで、いつもモタモタします。
4人以上の輪に入ると、あまり喋れずに終わってしまうこともあります。
集団の場にいると、離脱したくなる時があります。
他人から「話しかけにくいオーラがある」と言われたことが何度もあります。
とりあえず社交的ではないということは自信を持って言えます。
そんな僕ですが、過去に東京ディズニーランドから721日かけて歩いて日本を一周した経験があります。著書はこちら→『信じた道がいつか本当の道になるようにーガチで徒歩日本一周721日の旅』彩雲出版
日本一周していた当時は、今よりもっと酷かったと思いますが、旅をしながら、たくさんの人に出会って会話をすることで、これでもだいぶマシになった方です。
ということで、たとえコミュ障だったとしても、日本一周中に人と会話する方法を、自分の経験談を交えてまとめましたので、ご覧ください。
話しかけやすい人を選んで話しかける。
旅人に話しかける
一番話しやすい人は、おそらく旅人でしょう。
自分と同じようなことをやっている人に対して、お互いに親近感があるはずです。
北海道、沖縄、四国など、旅人が多い土地では話をする機会も多いと思います。
むしろ、出会ったら会話することが当たり前のような感じです。
自分から声をかける時は「こんにちわ」の一言でOKです。
もしくは「日本一周ですか?」とか、そんな感じで大丈夫です。
お互いの旅の話をしたり、情報交換などができます。
地元の人に話しかけることが苦手な人は、まずは旅人同士の会話から始めるといいと思います。一人旅初心者の僕としては、結構、得るものが大きかったです。
北海道を旅していた時に外国人の旅人に出会ったことがあります。
僕が英語が話せなくて、相手も日本語が話せません。
会話が成り立たず、どうしようもなかったので、「ごめん、英語わかんない」と、つい日本語で言ってしまいました。
すると、僕の「わかんない」に反応した相手は「ワッカンナイ!ワッカンナイ!」と、なぜか嬉しそうに連発してきました。
僕がもう一度、「わかんない」というと、これに鋭く反応して「ワッカンナイ!」と嬉しそうに言ってくるのです。
最終的に「ワッカンナイ!」「イエーイ!」みたい感じでハイタッチしたりして、なんかよく分からんけど、何か通じ合うものがあったことは確かだな思っていました。
後になって、よくよく考えてみたら、僕らが出会った場所の地名が「稚内(わっかない)」であることが判明しました(笑)。
犬の散歩をしている人に話しかける
僕が旅に出たばかりの頃、比較的に話しかけやすいと思ったのが、犬の散歩をしている人でした。
普通の通行人と違って、犬と一緒にゆっくり歩いている人が多いので、話しかけるタイミングを逃しにくいのと、一対一で会話をするのと違って、間に犬を挟んで会話ができるので、話しやすかったです。
僕が旅をしていた時は、スマホがない時代だったので、現地で情報収集するしかありませんでした。
公園で犬の散歩している人に「今、日本一周中で、この公園で野宿しようと思うんですけど、治安とか大丈夫そうですか?」とか聞いたりしていました。
「公園でも大丈夫だと思うけど、近くにお寺があるから泊めてもらえばいいんじゃない?」と言われて、お寺に行ってみたら、そこの住職に「近くに公園があるからそこでテントを張ればいいんじゃない?」と言われて、また公園に戻ってきたりとか(笑)。
ペットを飼っている人は、面倒見の良い人が多いので、親切に教えてくれる人が多かったです。特に主婦の人が話しかけやすかったです。
観光案内所の人に話しかける。
観光案内所も地元の人たちが働いているので、その地域のことを聞くには手っ取り早かったりします。
通行人にいきなり話しかけるのとは違って、話しかけやすかったですね。
キャンプ場がやっているかどうかの確認をしてもらったり、一番安い宿を探してもらったり、野宿できそうなスペースを聞いたこともありました。
その地域のことで分からないことがあれば、観光案内所に聞くのが一番です。
「日本一周している」と言ったら「ウチに泊まるか?」とか「今日、飲み会あるけど、来る?仲間紹介するよ」と誘われたことがあります。
歩きすぎて疲れていたので、行きませんでしたけど(笑)。
地元のネットワークがあるので、漁師や農家、牧場を経営している人とかにもお願いすれば、つないでくれそうな感じはありましたね。
話しかけるのが苦手なら、話しかけられるのを待ってみる。
道の駅で話しかけられるのを待ってみる。
僕が旅をしていた時は、道の駅やパーキングなどでトイレ休憩をしていました。トイレから出た後、近くのベンチに座って休んでいると、結構、人に話しかけられました。
道の駅やパーキングに来る人たちの一番の目的が、トイレ休憩だったりするので、近くのベンチに座って休んでいるだけで、たくさんの人とすれ違います。
日本一周している人もいたし、ツーリング中の上下革ジャンのバイカーもいました。
地元の人というよりも旅行中の人に話しかけられることが多かったです。
トイレの前という通行人の多い場所で、でかい荷物と一緒に真っ黒に日焼けした体でベンチに座っていれば、「コイツ、なんなんだろう?」と思った人たちの何パーセントかは、僕に話しかけてきます(笑)。
コンビニの前で話しかけられるのを待ってみる。
僕が旅をしていた時、一番休憩しやすいポイントがコンビニでした。昼飯を買ったり、飲み物を買ったり、たばこ休憩とかもしていました。
コンビニの前で不良がたむろする場所を想像すると分かりやすいと思いますが、コンビニの建物のへりみたいになっているところに腰をかけて食事休憩をしていました。もちろん、通行人の邪魔にならないように。
基本的に地元の人たちが多いのですが、その中で僕に話しかけてくる人は、日本一周の経験者や自分の身内に日本一周したことがある人というのが多かったです。
僕を見て、ちょっとほっとけない感じがしたんだと思います(笑)。
おじいちゃんに話しかけられたことがあって、「俺も昔、歩いて日本一周の旅に出たことがあったけど、精神的にきつくなって胃を壊して途中で挫折したんだよ。お前は今大丈夫か?」と心配されたことがありました。
「僕は大丈夫です」と答えたら、「今と昔では、日本一周のレベルが違うんだよ。俺が日本一周していた時は、ペットボトルなんてなかったから、水筒を使ってたよ」と言われました。
僕が旅をしていた時は、2000年代初期です。
スマホもないから、情報収集はネットではなく、現地調達だったし、道の駅も今よりもずっと少なかった頃でした。それこそ、歩いても歩いても何もない地域もありました。
今では、パソコン持って日本一周なんて当たり前だし、道の駅の数も増え、宿もネットで予約は当たり前。コンビニや観光地も増えたし、ネットカフェのように安く泊まれる場所が増えました。
アウトドアギアも進化して、小さくて軽量で機能的なものが売られるようになり、最近では、100円ショップで簡易的なアウトドアグッズが買えるようになりました。
このおじいちゃんが歩いて日本一周していた時は、おそらくアウトドアグッズも重くて大きいものしかなかっただろうし、今のように機能的ではなかったはずです。
食料を手に入れる場所も少ないとなると、自炊用具も含めて、荷物はかなりの重さになり、そんな状態で今よりも何もない場所をひたすら歩いていたかと思うと、日本一周した時代が古ければ古いほど、旅のレベルが高いということがよく分かります。
今のようにクラウドファンディングで日本一周する人がいる情報を知ると「これも時代だなー」って感じがします(笑)。
昔、日本一周した人が偉いというわけではないので、個人的には、その時代に合った日本一周でいいと思います。
宿で話しかけられるのを待ってみる。
宿のロビーで椅子に座って休んでいると、オーナーさんが話しかけてくれる時があります。
僕が旅に出た動機を話したら、オーナーさんが「脱サラをしてこの宿を始めた」という話をしてくれました。
「このままサラリーマンで、終わりたくないと思った」
「大自然に囲まれたログハウスを建てて、民宿をやるのが夢だった」
「ところが、大自然すぎて客が来ない」
「今の生活はギリギリだけど、ピンチになって、もうダメだと思う時に、運良く綱渡りできている」
そのオーナーさんの人生に触れられたことが、自分にとってすごく価値のあるものでした。
他にも旅人専用の簡易宿泊所に泊まると、相部屋が基本なので、他のお客さんと会話をする機会は多かったです。
まだ、出発したばかりの頃、ユースホステルに泊まった時に「日本一周している」と言ったら「旅の話をいっぱい聞きたい!」と僕のところにたくさんの人が集まってきたことがありました。
「出発して日が浅いので、まだ話せることないんですけど」と言って、ガッカリされたことがあります(笑)。
そっけない態度をとられても気にしなくて良い。
日本一周中に地元の人に自分から話しかけた時に、そっけない態度をとられる場合があります。
「なんだよ、その態度は!」と思い、イラついてしまうことがあるかもしれません。
基本的には、あまり気にする必要はありません。
なぜならば、よそ者にいきなり話しかけられたら、誰だって多少は警戒するでしょうし、地域によっては方言があるので、きつく言われたように感じることもあるからです。
あと、コミュ障が地元の人に話しかける時に注意しなければいけないことがあります。
それは、相手もコミュ障の場合があるということです。
「せっかく勇気を出して話しかけたのに、なんだよ、その態度は!」とイラついているけど、
「そもそも、お前もコミュ障だろ!」って話です。
「コミュ障が、コミュ障にイラついてどうする?」って話です。
「お前がコミュ障の気持ちを分かってやれないで、誰がコミュ障の気持ちを分かってやるんだ?」って話です。
地元の人に話しかける際に注意するべきこと。
「コミュ障は避ける」以上。
無理して人と話す必要はない。
日本一周というと、「たくさんの人たちと会話をしないとやる意味がない」という人がいます。
確かにたくさんの人と会話をした方が、吸収できるものは多いかもしれません。
僕の経験上ですが、たくさんの人と話せば、それだけ得るものがあるかといえば、必ずしもそうではありませんでした。
地元の人と5分ぐらいの会話しかしていないのに後にいろいろなことを考えるキッカケになったこともありますし、3時間も会話したのにも関わらず、たいして得るものがなかったこともあります(笑)。
実際、日本一周をしていると、1日のスケジュールの中で、どうしても移動時間がメインになってしまうので、地元の人とのコミュニケーションよりも、先を急ぐことを優先することが多くなります。
地元の人も別に暇なわけではないし、農家をやっている人、漁師をやっている人、牧場をやっている人、それぞれの人が仕事中なので、場合によっては迷惑になることもあります。
当時の僕のスタンスとしては、「機会があれば、地元の人とコミュニケーションをとる」程度のものでした。
個人的には、「日本一周はこうでなくてはいけない」という先入観にしばられすぎるのはあまりよくないと思っています。
なぜならば、日常生活の中で「知らない土地に行って、初対面の人に声をかけまくって、何人と仲良くなれるか」を日本一周でやるようなものだからです。
ベテランの営業の人や凄腕のナンパ師と同じレベルのことができるかといえば、正直、僕には無理です(笑)。
「日本一周とは」という先入観にしばられすぎてしまうと、「地元の人に話しかけられない俺はなんてダメ野郎なんだ」とか「このままでは、意味のない旅になってしまうんじゃないか?」などと考えすぎてしまうことで、メンタルが崩壊していくこもあります。
だったら、日本一周することだけに集中した方がいいです。
日本一周中に自分をいきなり変えようとせずに、旅が終わった後にその反省点を生かして、将来に向かって少しずつ自分を成長させていくというのも一つの考え方ではないでしょうか。
人と話すのが苦手な人は、無理をせずにできる範囲でやればいいと思います。
僕自身、旅がうまくいっていない時に「今日は誰とも話をしたくない」という日もありましたから(笑)。
大場祐輔 1981年埼玉県生まれ。 大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロの距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをしながら食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 出版社に原稿の持ち込みを開始。
それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」を出版。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」