「歩いて日本を一周する為には、1日に何キロ歩けばいいんだろう?」
僕、大場祐輔は、東京ディズニーランドから721日かけて歩いて日本を一周した経験があります。→著書はこちら「信じた道がいつか本当の道になるようにーガチで徒歩日本一周721日の旅ー」彩雲出版
僕は毎日40キロの距離を歩いていました。
「なぜ、40キロなのか?」
「どうすれば毎日40キロ歩けるのか?」
というマニアックな疑問にお答えします。
これから歩き旅をする人にとって僕の経験が参考になれば幸いです。
毎日歩く距離を40キロに決めた2つの理由
40キロ歩ければ寝床はどうにかなる
旅をしていて何が一番困るかというと「その日の寝床をどうするか?」です。
宿泊施設やキャンプ場、野宿できそうな公園や道の駅などがあればベストですが、人が住んでいる市街地から少し外れてしまっただけで、道路だけで「何もない場所」が多く存在します。
歩いて旅をする場合、一日で歩ける距離には限界があるので、「何もない場所」で夜を迎えてしまうと、野宿する場所や食料を調達できる場所が見つからない時もあります。
「何もない場所」は夜になるにつれて、だんだん不安になります(笑)。
歩く体力も残っていない状態なので、ハッキリ言って泣きたくなります(笑)。
市街地は宿泊施設や食料を調達できる場所が充実している為、何かトラブルが起きたとしても、たいていのことはどうにかなります。
僕の経験ですが、市街地から市街地までの距離がだいたい40キロ前後のところが多かったです。その為、その日の目的地をなるべく市街地付近に設定して歩いていました。
市街地までたどり着けなかったとしても、その間に道の駅やキャンプ場など、野宿できるポイントがどうにか見つかるので、最低でも40キロ歩ければ寝床はどうにかなります。
1日の移動時間と体力の問題
1日に長い距離を歩けることに越したことはありませんが、時間と体力の問題があります。
まずは時間の問題。1日24時間です。
1日で歩いて移動できる時間はせいぜい12時間ぐらいが限界かと思います。
12時間ずっと歩きっぱなしというのは不可能なので、そのうち最低でも2時間ぐらい休憩を入れる必要があります。つまり、実際に歩き続ける時間は10時間。
あくまで計算上の話になりますが、仮に1時間で歩ける距離が4キロだとしたら、10時間で40キロぐらいが目安になります。
次に体力の問題。
毎日、同じ距離を歩くとしても、道路の路面の状況(平坦、坂道)や季節(気温)や天候(炎天下、大雨、風が強い日)によって辛さが変わります。
また、実際にやってみると分かりますが、足が慣れることはありません。足の痛みは常に悪化し続けます。
歩いて旅をするということは長期戦になります。
色々な状況がある中で、毎日確実にキープできる距離を考えると、時間と体力的な面で考えても40キロぐらいがベストだと思います。
40キロ歩いた後、体力に余裕が残っていれば翌日に温存しておけばいいと思いますし、時間に余裕ができれば、足を休める時間にあてるべきです。
毎日40キロ歩き続けるコツ
セット数で分けてインターバルをとる
長距離を歩くことは筋トレに似ています。
腕立て伏せを連続で100回できる人は少ないと思います。
連続で20回しかできなければ、20回を1セットにして休みながら5セット行えば100回になります。
長距離を歩く際もインターバルは必要です。
40キロの距離を一度も休まずに歩き続けることは、ほとんどの人が不可能だと思います。
10キロを1セットにして、休みながら4セットをこなせば40キロになります。
もしくは、5キロを1セットにして、休みながら8セットこなせば40キロになります。
少ない距離でも積み重ねることが大事です。
途中で何回休んでも大丈夫ですが、あまり長く休みすぎてしまうと歩く気が起きなくなるので注意が必要です(笑)。
荷物を極限まで減らし続ける
歩いて旅をするということは、すべての荷物を自分で背負って移動することになります。
荷物が重いと、それだけ歩くことが困難になります。
僕の場合は、キャンプ用の自炊用具は持ち歩きませんでした。
自炊用具を持ってしまうと、ガスバーナー、鍋、調味料、それに合わせて食料を持つことになるので荷物がさらに重くなります。
なるべく現地調達で済ませて、食料を買う場所がない時は食パンを常に持ち歩いていました。
歩き旅の荷物の基本は「1グラムでも軽く1ミリでも小さく」です。
僕の場合、地図は必要なページだけちぎって残りは捨てていました(笑)。
やりすぎと思われるかもしれませんが、無駄なものが100gあったとして、これを10個持てば、荷物が1kg重くなります。少しでも歩きやすくする為には、荷物は極限まで減らし続けることです。
他にも100円ショップで石鹸を買って、店を出てたらその場でかち割って半分はゴミ箱に捨てるという病的な行動をしていました(笑)
早朝から歩き始める
僕は長距離を歩く時、または足の状態が悪い時は、早朝から歩いていました。
朝5時ぐらいから歩き始めると、昼過ぎには目標の半分以上の距離が終了します。
その後は、余裕を持って歩くことができます。
夏は早朝の方が涼しくて歩きやすいという利点もありますし、日が暮れるまでの時間を有効に使うことができます。
昼間をメインに歩いていると、日中は暑くてバテやすいので休憩をとる回数も増えます。
16時ぐらいになっても、その日の目的地の射程距離内に近づけていないとだんだん焦ってきます(笑)。
足の痛みもピークになっている頃なので、精神的にもかなりキツくなります。
早朝から歩き始めると効率もいいし、余裕を持って歩けるのでおすすめです。
時間が解決してくれる
旅をしている時に寄せ書きで「一歩一歩にリアルを」という熱いメッセージを頂いたことがあります。
気持ちはありがたいのですが、一歩一歩に感情を込めて歩く作業は非常に疲れます(笑)。
長距離を歩く時のコツは「歩くことを意識しない」ことです。
例えば、残り20キロの距離を歩く時、「あと20キロ」という考えは捨てます。
1キロ歩くごとに「あと19キロ」とカウントしながら歩くのは疲れるからです。
こういった場合は、距離ではなく時間でカウントした方が気楽です。
1時間で4キロ歩くとしたら、20キロなら5時間。休憩を1時間プラスしたとしても、だいたいあと6時間。
「泣いても笑っても、どうせ6時間後には終わってるしな」という考えで歩きます(笑)。
歩き続けてさえいれば、最終的には時間が解決してくれます。
毎日40キロ歩き続ける為に注意すること
夜は歩いてはいけない
田舎の方になると夜は真っ暗です。
市街地から離れると、車のライトで一瞬だけ辺りが照らされるレベルで、基本的には何も見えないと思った方がいいでしょう。
夜は道路が空いているので、スピードを出して走る車が多いです。
特に歩道がない狭い道を歩いていると危険です。
交通事故が起きる可能性があるので、夜に歩くのは危険です。日が暮れるまでには歩き終えることをおすすめします。
無駄に歩いてはいけない
道に迷ったり、遠回りするとそれだけ無駄な距離を歩くことになります。
例えば、寝床探しや観光で、直接、日本一周のルートと関係ないところで、無駄に歩くことがあるかもしれません。
例えば、1日5キロ無駄に歩いたとします。
10日で50キロ無駄に歩く計算になります。
1ヶ月で150キロ無駄に歩く計算になります。
1年で1825キロ無駄に歩く計算になります。
日本一周の距離は12000キロと言われています。
どのルートを歩いて日本一周と捉えるかは人それぞれですが、実際はルート以上の距離を歩くことになります。
つまり、無駄に歩いた分だけ、確実に足の負担が増えます。
なるべく、無駄に歩くことは避けましょう。
無理をしてはいけない
歩き旅をしている以上、仕方がない部分もありますが、自分の体と相談しながら休養を取りながらやるべきです。
足への負担は日々大きくなるので、痛みはひどくなります。足の裏に関しては「痛み」を超えて「怪我」のレベルになります。毎日、長距離を歩き続けている限り、自然に治ることは不可能です。
僕の経験では、足の裏の痛みを完治させる為には、最低でも一週間から10日は休養をとる必要があります。
足の痛み以外でも、しっかり栄養を取らないと体が電池切れすることがあります。
夏は脱水症状になることもありますので、水分はしっかり取りましょう。
「自分の限界に挑戦したい」という気持ちも分かりますが、限界を超えてからでは遅いです。
一人旅は、自分の限界を超えない範囲内でやるのがベストです。
靴選び、サイズ選び、ヒモの調整はしっかり行う
徒歩日本一周で履く靴は ウォーキングシューズ一択です。
スニーカーなどのオシャレ靴はおすすめしません。ランニングシューズもダメです。
ランニングシューズをおすすめできない理由を簡単に説明すると、ソールが屈曲しすぎてしまう為、長距離のウォーキングには不向きです。
毎日40キロ歩くとすれば、最低でも1日5万歩ぐらいは歩くことになります。つまり、無駄な動きが5万回生じます。必ずウォーキングシューズを使用しましょう。
歩いている時に靴に小石が入る経験をしたことがある人は多いと思います。
その場合、ヒモが緩い、もしくは足に対して靴が大きい場合があります。足にあった靴のサイズを選び、靴ヒモをしっかり調整しましょう。
ヒモが緩かったり、靴のサイズが大きいと、靴の中で足が前後上下にズレます。
1日に5万歩ぐらい歩くとしたら、靴の中で5万回は足がズレます(笑)。
僕は、靴ヒモを緩めて履いて歩いていたせいで、爪が3枚剥がれました。マメもたくさんできましたし、巻き爪になったこともあります。
足にトラブルが起きると痛みで歩けなくなります。靴選び、サイズ選び、ヒモの調整はしっかりと行いましょう。
また、歩いて旅をしていると靴がすぐに消耗します。
体感になりますが、履き始めて1ヶ月〜2ヶ月ぐらいで靴の踵の部分が削れてきます。
愛着が沸いてしまって、なかなか手放せない気持ちになることもありますが、どんなに良い靴でも踵が削れたり穴が開いてしまうと歩きにくくなり、足への負担も増えます。
割り切って早めに買い換えることをおすすめします。
最後に「今、俺はどれぐらい歩けるんだろう」
旅が終わってからも「今、俺はどれぐらい歩けるんだろう」と思って、1日かけて40キロ歩いてみたくなる時があります。
3年に1回ぐらいのペースでやっていますが、毎回やってみて思うのは、やっぱりきついです。手ぶらで歩いてもきついです(笑)。
実際に旅をしていた時は、重い荷物を背負って足の痛みや疲れがとれないまま歩き続けていたので、もっときつかったはずです。
当時は、目標を達成するために毎日やるべきことを必死でやっていましたが、その「やるべきこと」がシンプルで分かりやすかったのかなと思います。
歩ければ歩くほど前に進めるわけですから、ここまでやったことが確実に成果として出るものは他にないでしょう。
久しぶりにやってみると「1日の時間ってこんなに長いんだな」とか「俺は今、毎日ベストを尽くして生きているのかな?」と考える機会にもなるので、自分にとって良い刺激になります。
たまには、長距離のウォーキングもおすすめです。
ぜひ、やってみて下さい(笑)。
僕の旅の記録は彩雲出版から書籍化されています。推薦文はプロレスラーの大仁田厚さん。読んで頂けると東京ディズニーランドから721日かけて歩いて日本を一周した甲斐があります 笑。
大場祐輔 1981年埼玉県生まれ。
大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロの距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをして食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。
同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 出版社に原稿の持ち込みを開始。
それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」←クリックするとAmazonに飛びます。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」