徒歩日本一周の旅に出る場合、一体、どんな髪型をすればいいのだろうか?
「悩みすぎて、おちおち夜も眠れねー」
そんなあなたのためだけに今回の記事を書こうと思う(おそらく需要なし)。
一般的に徒歩日本一周をしている人の髪型は、大きく分けて二つのタイプに分かれる。
①ロン毛
②ボウズ
なぜここまで極端になってしまうのだろうか?
徒歩日本一周経験者の俺が説明しよう。
田舎を旅していると、床屋の数が圧倒的に少ないので、定期的に髪を切るにはタイミングが合わないことが多い。徒歩移動の場合は1日に歩ける距離はたかが知れている。
また、旅費の節約を考えた場合、積み重なる散髪代が痛い。徒歩日本一周の場合、長期の旅になることも視野に入れなれければならない。
つまり、旅をしている間は、髪を切る手間が少ない方が良いという考えになる。
その結果、髪を切らない伸ばしっぱなしのロン毛派と、どうせ髪を切るなら、しばらく伸びてこないように短く切ってしまうボウズ派の二大派閥に分かれる。
君はどっち派?(俺はボウズ派)。
徒歩日本一周していた時の俺は完全にボウズ派に属していた。
しかし、ボウズ派といっても、旅をしている間、常にボウズの状態をキープしていたわけではない。それでは散髪代がかかってしまうので元も子もなくなる。
ボウズ頭で出発して、髪がボーボーに伸びてきたら、またボウズ頭にリセットする。この作業をひたすら繰り返していた。(ほとんど草刈りと一緒)。
ボウズの一番のメリットは、とにかく楽だということ。
髪を洗った後は、ドライヤーいらず。秒で乾く。乾くのが早いから、野宿の時も水道で簡単に洗髪できるので、髪を清潔に保ちやすい。
今はあるかどうか分からないけれど、昔、キャンプ場にコインシャワーというのがあって1回100円で10分間、水が出るというのがあった。
10分経つと水が止まるシステムなので、10分以内で終わらせなくはいけない。
ボウズ頭は洗髪が時短になるし、全身石鹸で洗えるから有利だった。おそらくロン毛は不利だと思う。
温泉などの公衆浴場に行った場合「たまにはシャンプーで洗うか」とポンプ式の容器をワンプッシュすると、髪に対してシャンプーの量が多すぎてお釣りが出まくる。ちなみに半プッシュでもお釣りが出るので、結局ボディーシャンプーで全身を洗うことになり、シャンプーとリンスの選択肢は無くなった。
一方でボウズにもデメリットがある。
真夏に短く刈り込んだボウズ頭で大量に汗をかくと、汗が目に入ってつらい。
通常、髪の毛がある場合、頭にかいた汗が流れ落ちても顔の横(耳側)から流れることが自然である。髪の毛がストッパーの役割を果たしていることは意外と知られていない。
ボウズ頭、もしくはスキンヘッドの場合、ストッパーがないので、汗がもろに目に入る。例えると、滝行してるみたいな感じ。眉毛もストッパーの役割(川でいうところの土手)にはなるが、汗の量が多いと溢れて目に入る。
真夏は帽子をかぶって過ごしていたが、炎天下で40キロ以上の距離を歩いていると、ボウズでも暑すぎて帽子をかぶっていられなくなった時があった。
実際、帽子をかぶらずに何日か過ごしたところ、直射日光(直撃で射ってくる太陽の光)で頭が焼けて、火傷に近い状態になったことがある。
中でもボウズのデメリットとしてすることで一番大きいのはビジュアルが落ちることだと思う。
・ボウズ頭が似合う人は実際少ない。芸能人でボウズ頭でかっこいい人がいるが、もともとベースがカッコ良いので、その人に憧れて素人がボウズにしても劇的にビジュが落ちて終わる。ちなみにボウズ頭の似合う芸能人が髪を伸ばすとさらにカッコよくなることはあまり知られていない。
・日本一周中に食費を節約して体が痩せ細ってきた時に自分の影を見ると全身のシルエットがマッチ棒みたいになる。
・中途半端に髪が伸びると頑固な寝癖がつきやすくなって頭を水に濡らしても直らない時がある。
・伸びてくるとウニ頭になる。不格好になって、清潔感はなくなる。
以上がボウズのデメリットになる。心なしかメリットよりもデメリットの方が多いような気もするが。
俺は子供の頃、親父から「男はボウズだ!」と言われ、強制的にバリカンでボウズにされていた。
時代の流れか、最近では「おしゃれボウズ」というものが定着しつつある。
俺の子供時代にしていたボウズは、いわゆる「丸坊主」のことで、例えば、バリカンのアタッチメントを6ミリにセットしたとしたら、その6ミリでトップ、サイド、バックのすべてを刈っていた。
おしゃれボウズの場合、トップ、サイド、バックを頭の形に合わせて長さを変えてカットする。場合によっては前髪が残っていたり、ソフトモヒカンぎみにする人もいる。
有名人が不祥事を起こして、謝罪会見でボウズ姿で登場しているのを目にすることがあるが、最近はおしゃれボウズにしている人が多くなったと思う。
子供の頃からずっと強制的に丸坊主にされてきた俺の立場からすると「本当に反省する気あんの?」と思ってしまったり、「元々、ボウズの人はどう反省すればいいのだろう?公平差に欠ける」と考えてしまうことがある。
そんな俺はおそらくガチ勢なのだろう。
男で「絶対ボウズにだけはしたくない」という人がいる。
確かにボウズにすることによって、圧倒的にビジュが落ちる。特に普段、髪が長い人は自分のポリシーもあるだろうから、屈辱的に感じるかもしれない。
俺自身、もともとが短髪ではあるけれど、実際、ボウズが似合うわけではないので、若干の恥じらいを感じることはある。
それでも徒歩日本一周の時、丸坊主にしていた理由は、外見の見た目を捨て、裸一貫のつもりでやるべきだと思ったから。
日本列島を歩いて一周するわけだから並大抵な気持ちでは達成できない。
実際に旅が始まれば、見た目を気にしている余裕はなくなる。それならば目標を達成するために自分の中身を磨くことを最優先にした方がいい。
そんな理由から、徒歩日本一周するならボウズ頭を個人的には推したい。あと楽だし。
余談になるが、旅が終わった後もボウズを続けた。
元々、本を出版したくて旅に出たので、俺にとってのゴールは、徒歩日本一周をやり遂げることではなく、旅の記録をまとめて本を出版することが本当のゴールだった。
旅が終わってからも、ボウズ頭で原稿を書いて、出版社に持ち込みをした。
その結果、徒歩日本一周の旅を開始してから、本屋に自分の本が並ぶまでの8年間、ずっとボウズ頭を貫いた。
なんか今振り返ると、修行僧のようだった気もしなくはないが。
旅が終わって20年以上たって、俺もおっさんになってしまったが、歳のせいか髪が徐々に薄くなり始めてきている。
おそらく、徒歩日本一周時代に真夏の炎天下で帽子を被らずに頭皮に直射日光(直撃で射ってくる日光)を浴びたせいもあるかもしれない。たぶん、あれが一番効いた気がする。
ボウズにするなら真夏に帽子は必須。これは見た目を気にして頭を隠すためじゃない。あくまでディフェンスのため。

大場祐輔 1981年生まれ。 大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロ以上の距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをしながら食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 数々の出版社に原稿を持ち込みを開始し、断られまくる。
が、それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」を出版。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」
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