僕にとって、徒歩日本一周していた時の一番の黒歴史は、出発前に準備した荷物の重量でした。
一人旅やアウトドアの経験もなかった僕は、自分の体型では背負えないぐらいの大容量のリュックに「あれも必要、これも必要」と思いつくもの全てのものを詰め込み、試しに背負ってみると、ちょっと気を抜いたら後ろにひっくり返りそうになるほどの重さになってしまいました。
「これはさすがに歩けないだろう」と思った僕は、キャリーにリュックを載せて歩くことを思いつき、その時点で解決した気になっていました。
「どうせ、歩くだけだ」と思っていた僕は、荷物の準備以外、特に何もせず、旅の日程に関しても、なんの根拠もなく「1年ぐらいで終わるっしょ」と思って、何も考えていませんでした。
そのままリハーサルなしのぶっつけ本番で出発をして、自分がバカ殿だったことに気づくまでに時間はかかりませんでした(笑)。
キャリーを引っ張って歩くことで、地面の段差にタイヤが引っかかって、その度にキャリーが横転。リュックを背負って歩くやり方に切り替えてみたものの、当然、重すぎて歩けず(笑)。
出発して一週間足らずで、すべて自宅に送り返し、最終的にはキャリーも手放しました。
「俺は一体、何をやっているんだろう」という感じでした(笑)。
振り返ってみても、無駄に買い揃えた荷物を旅費にまわせば良かったと思うし、無駄に重い荷物のせいで足を痛めていなければ、もっと早くゴールできたんじゃないかと思うところが多々あります(結局、約2年かかった)。
出発前の僕に決定的に足りなかったもの。
それは、「徒歩日本一周を想定して歩いてみる」ということ。
今後、徒歩日本一周の旅を考えている人がいるなら、僕のようになってほしくない、というか、たぶん、ならないから大丈夫(笑)。
徒歩日本一周するなら、荷物の準備よりも一番先にやること。
それは、「徒歩日本一周を想定して歩いてみる」ということです。
歩くことをナメてはいけません。
荷物の準備や日本一周の計画はその後です。
徒歩日本一周の出発後を想定して歩いてみる
まずは、どれくらい歩けるかやってみましょう。
とはいえ、家の近所をウォーキングしたとしても、たいして得るものはありません。
大切なことは、「徒歩日本一周の出発後を想定して歩く」ということです。
押さえて欲しいポイントが3つあります。
②重量を背負って歩いてみる。
③知らない土地を歩いてみる。
一日かけて長距離を歩いてみる。
まずは、「一日かけてどのくらい歩けるか?」やってみましょう。
通常のウォーキングと違って、徒歩日本一周の場合、一日かけて長距離を歩くことになります。
早歩きで自己ベストを叩き出すような歩き方をする必要はありません。
仮に火事場のクソ力で、その日だけ70キロ歩けたとしても、「それ、毎日できんの?」という話になるからです(笑)。
歩き旅では、毎日自分が無理なく歩ける距離を設定した方が良いです。
むしろ距離よりも、意識するのは時間の方です。
実際に旅に出てみると分かりますが、夜になると田舎の方は街灯も少なく、真っ暗で歩けません。明るい時間に歩き終える必要があります。
「日が暮れるまでに結果として何キロ歩けたか?」が重要です。
歩くスピードはゆっくりで構いませんし、休憩は何度入れてもOKです。
これによって、ざっくりですが、徒歩日本一周にかかる日数の目安が分かります。
人によって日本一周で歩くルートは違うので、距離もそれぞれだとは思いますが、日本一周の総距離は一般的に12000キロと言われています。
僕が旅をしていた時は、毎日平均で40キロ前後の距離を歩いていました。
仮に毎日40キロペースで歩くとしたら、
12000キロ(総距離)÷40キロ(1日に歩く距離)=300日+休日等(徒歩日本一周にかかる日数)
一日にたくさん歩ければ、それだけ日数も少なくなりますが、頑張りすぎて足を痛めてしまうと、歩くペースが落ちてしまったり、足を休めるための休日が増えてしまうので、結果的に日数がかかってしまいます。
旅の日数は費用に比例するので、おおよその旅の資金を計算するためにも実際に1日かけて何キロ歩けるかをやってみることは大切です。
・徒歩日本一周で、毎日平均で何キロくらい歩けるかを想定できる。
・徒歩日本一周にかかる日数、費用をざっくり計算できる。
重量を背負って歩いてみる。
手ぶらで歩く通常のウォーキングと違って、徒歩日本一周の場合、荷物を背負って歩くことになります。
出発前の準備で荷物を揃える前に歩きながら自分自身が背負える重量を知っておく必要があります。
荷物を先に揃えてしまうと、場合によっては重すぎて歩けなくなってしまい、せっかく買い揃えたものまで、結果的に手放すことになります。僕がそうでした(笑)。
歩き旅の荷物の重量は人それぞれですが、平均して10〜20キロぐらいだと思います。
ざっくりですが、「キャンプ用品」+「2泊3日の旅行の荷物」+「自分が必要だと思う物」をリュックに詰め込むと、重量は10キロ以上にはなります。
試しに水を入れた2リットルのペットボトル5本(10キロ)をリュックに入れた状態で、1日かけてひたすら歩き続けてみましょう(簡単に言ってますが 笑)。
この10キロの重量を目安に荷物の重量を決めるといいでしょう。
ちなみに歩き旅の荷物は、軽いにこしたことはありません。
荷物が重いほど、歩くのが大変です。無駄な荷物はどんどん削りましょう。
・徒歩日本一周で、荷物を背負って歩く感覚を想定できる。
・自分が歩きながら持ち運べる重量を知ることで、荷物を選ぶ際の重量の目安を知ることができる。
知らない土地を歩いてみる。
試しに歩いてみるルートですが、できるだけ知らない土地の方が良いです。
なぜなら、これから徒歩日本一周で歩いていく道は、自分が知らない道ばかりだからです(笑)
家の近所や知っている場所を歩くとなると、つい歩きやすい道路を選んでしまいがちです。
徒歩日本一周を想定するとしたら、できるだけ知らない土地を選んで歩いた方が良いです。
実際に旅が始まると分かりますが、地面のアップダウンが激しかったり、路面が斜めになっていて歩きにくかったり、都会では歩道橋ばかり渡る時間が増え、距離を稼げない時もあります。
特に気をつけなきゃいけないのは、歩道のない道路です。
狭くて長いトンネルや交通量が多い歩道のない道路など、「えっ?こんなとこ歩くの?」と思うような歩道のない危険な道がたくさんあります。そういう場所に限って、ガンガンにトラックが飛ばして走っていたりします(笑)。
「むしろ、バンジージャンプの方がマシかも?」と思うぐらい勇気のいる道路もありました(笑)。
徒歩日本一周中に命の危険があるとしたら、栄養失調で倒れる可能性よりも交通事故の可能の方が大きいです。
危険な道を通る場合は絶対に注意が必要ですし、時には引き返して違う道を選択する勇気も必要です。
また、歩き旅でキャリーを使う人が多いですが、状況によっては逆に歩きづらくなる時もあります。
僕も出発当初は、キャリーを使っていました。
「この重い荷物をどうすれば楽に運べるか?」と考えた末のキャリーだったのですが、最終的には手放しました。
理由としては、以下です。
徒歩日本一周出発前に知らない土地を歩いてみることで、現時点の自分が想定できていないことを知ることができる。
最後に
出発前の僕は、徒歩日本一周のに対する不安を打ち消そうとして、荷物を万全に対策しようとしていたところがあります。
結果的には、大量の荷物を持つことになり、お金と時間と体力を無駄にしてしまいました。
荷物を準備するということは、徒歩日本一周の旅を想定しながら、買い揃えていくわけですが、想像だけで準備すると無駄な荷物が増えます。
実際、僕がそれで失敗しています(笑)。
出発前、出来上がった大量の重い荷物を目の前に「背負うものは大きい方がいいっていうもんな」と無理やり自分を納得させようとしていたことがありました。
今振り返ると「軽いのに越したことはねーだろ」と思います(笑)。
徒歩日本一周していて、一番のストレスは荷物でした。
「どうすればもっと軽くなるか?」を考えながら歩いていました。
ゴールした時、「もう長距離を歩かなくていい」という気持ちよりも「もうこんな重い荷物を持たなくていい」という解放感の方が実際は大きかったです(笑)。
荷物の重さによって、1日に歩ける距離も変わります。
それによって、体の負担や旅の日数、費用が大きく変わっていきます。
フットワークが軽いのと重いのでは、旅の内容も大きく変わります。
まずは、徒歩日本一周を想定して歩いてみる。
荷物の準備や旅の日程や予算の計画等は、その後です。
これを旅に出る前の自分に教えてあげたいです(笑)。
大場祐輔 1981年生まれ。 大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロの距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをしながら食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 数々の出版社に原稿を持ち込む。
それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」を出版。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」