これを書くには、勇気が入ります…。
僕が徒歩日本一周中していた時に家族や友達、旅先で出会った人たちから、たくさんの物を貰いました。
貰った時は嬉しかったけど、旅をしていると後で困るものというのがあります。
人から物を貰うというのは、有難いことですし、わざわざ自分のために用意してくれるわけですから、感謝しかありません。
ただ、貰う側の旅人の気持ちも書いておくべきかと思いまして、勇気を出して自分の経験談を元にこの記事を書こうと思った次第です。
もし、家族やお友達で徒歩日本一周する人がいた時に、何かをあげる時に参考にして頂けると幸いです。
徒歩日本一周中に貰って困るものとは?
僕が徒歩で日本一周していた時は、毎日平均して40キロぐらい歩いていました。
歩いて旅を場合、すべての荷物を自力で運ばなくてはいけません。
荷物選びで大事なことは、「1gでも軽く、1ミリでも小さいもの」です。一切の無駄なものは持ち歩きません。
当時の僕は、地図は必要なページだけ残して、日本一周に必要のないページはちぎって捨てるとか、石鹸を半分にかち割って軽量化するなどをしていました。
「それ、やりすぎだよ」と思われるかもしれませんが、例えば、200gの無駄なものを5個持っていると、結果的に荷物が1kg重くなります。
そのため、神経をすり減らすぐらい荷物の重さには敏感になっていました。
大事なことなので、もう一回書きますが、歩き旅の荷物の基本は、
「1gでも軽く、1ミリでも小さいもの」です。
歩き旅をする人間は、究極のミニマリストなのです。
つまり、徒歩日本一周中に貰って困るものとは、後々、荷物になって足かせになってしまうものです。
人から物を貰えるというのは、相手の気持ちも含めて、本当に有難いことではあるんですが、貰った荷物のせいでに苦しんだこともあります(笑)。
実際に貰った時は嬉しかったけど、後で困ったものとは?
①寄せ書き(色紙)、手紙
出発前に見送りに来てくれた友達に貰ったり、会いに来てくれた友達や旅先で住み込みのアルバイトをしていた時に再出発の際にバイト仲間から貰いました。
色紙や手紙自体は、重くはないんですが、これが増えていくとリュックの中で結構なスペースを取ります。特に色紙。
寄せ書きにしても、たくさんの人が自分のために書いてくれたものだし、手紙もわざわざ手書きで書いてくれたものなので、本当に嬉しいし、感謝しかありません。
ただ、やっぱり、最終的には荷物になります(汗)。
貰ったもの関しては捨てられるものではないので、ある程度たまったら実家に郵送していました。旅が終わった今でも大事に保管してあります。
②お守り
出発前に家族や友達に貰ったり、旅先でたくさんの人たちに出会った時に貰いました。おそらく5〜6個は貰いました。中には手作りのぬいぐるみ的なお守りを貰ったこともあります。
これは、非常に有難いことですし、僕の旅の安全を願って頂いているという点でも、感謝しかありません。
色紙や手紙は、実家に送ったりすることもできるのですが、お守りに関しては、旅が終わるまで肌身離さず持っていないといけません。
本当に大変申し訳ないんですが、最終的には荷物になります(汗)。
旅をしている時に僕と同じように歩いて旅をしている人に出会ったことがありますが、リュックにお守りを20個ぐらいぶら下げている人がいました。
おそらく、たくさんの人たちから旅の安全を願って頂いたものだと思うのですが、これは非常に危険です。
なぜかというと、リュックに大量のお守りをぶら下げていると、車に引っ掛けられるおそれがあります。特にトンネル内は危険です。
「交通安全」のお守りがキッカケで事故が起きたとしたら、お守りの意味がなくなってしまいます。
僕は、お守りをリュックの中に入れて持ち歩き、旅が終わった後は、神社にすべて返納しました。
③缶詰15個
「缶詰だったら腐らないし、いつでも食べれるからいいかなと思ってさ」と言われて頂いたことがあります。
普通の食料だと賞味期限があるので、腐ってしまうこともあります。そこをいくと、缶詰なら賞味期限も長いし、常温で保存がきくし、いつでも食べられます。
歩き旅の場合、1日で歩ける距離はたかが知れているので、場合によっては、スーパーやコンビニがないところもあります。そういう時に缶詰は大変便利です。
僕の旅をしっかり考えてくれた、その気持ちは本当に有難いです。
ただ、缶詰15個は、かなり重いです(笑)。
本当に申し訳ないんですが、そうとう重くなります(汗)。
缶詰を15個貰った時は、嬉しい反面、「うおっ、マジか」と思い、結局、荷物を軽くしたい一心で、2日間で食べきりました(笑)。
食品系はもらうと非常に嬉しいのですが、荷物の重さを考えると、1食分で消化できる量の方が本当は有難いです。
④条件付きのQUOカード
QUOカードとは、コンビニなどで使用できるプリペイドカードのことで、お釣りも出ます。
現金だと貰いにくいですが、「これで、何か食べてね」とか「何かの足しにしてね」と言ってもらって、500円のQUOカードを渡されると、貰う側も貰いやすいです。
では、ここでいう「条件付きのQUOカード」とは何か?
旅をしている時にわざわざ友達が会いに来てくれたことが何度かありました。
その中の友達の一人からQUOカードを貰いました。
「これ、ピンチの時に使って!」
そう言われました。
「ありがとう。大事に使わせてもらうよ」と僕が言ったところ、
「絶対、ピンチの時に使ってね!もうダメだっていう時。それ以外は絶対使っちゃダメだよ!」
と言われました。
つまり、「条件付きのQUOカード」とは、ピンチの時以外は絶対に使ってはいけないQUOカードということです(笑)。
友達と別れた後、一人でふと考えました。
「ピンチの時って、いつだろう?」
QUOカード自体はお釣りが出るものなので、お金が尽きた時に使うのも、お金があるうちに使うのも、結果的には一緒ではないだろうか?と思いました。
歩き旅の場合、歩きで移動できる距離は、たかが知れているので、丸一日、コンビニもスーパーもない時がたまにあります。
そんな場所で空腹でぶっ倒れそうになった時、「今こそ、このカードを使う時だ」と思っても、QUOカードを使える場所でなければ、そのまま、の垂れ死んで試合終了です(笑)。
結局、いつ使うのがベストかを考えた結果、使えるうちに使ってしまおうという判断に至りました。
その友達はおそらく、「あの時、お前から貰ったQUOカードのおかげで助かったよ」というストーリーが欲しかったんでしょうけど、正直、僕にはそこまで追い込む覚悟はありませんでした(笑)。
相手の気持ちを台無しにしないように前もって伝えておく
人から何かを貰えるというのは本当に有難いことです。
僕の旅を応援したいという気持ちで、わざわざ準備して自分に贈ってくれるわけですから、感謝しかありません。
ただ、歩き旅の場合、後々、荷物になってしまうと結果的に自分が苦しくなってしまいますし、せっかく用意してくれた相手の気持ちを台無しにしてしまうわけにもいきません。
旅をしている時に「貰って嬉しかったけど、実は困ったもの」を何度か経験していくうちに、予防線を張るようになりました。
特に旅先でお金がなくなった時に住み込みのアルバイトをしていたので、再出発の時にバイト仲間から物を貰うことが多かったです。
バイト中に歩き旅の荷物の基本は「1gでも軽く、1ミリでも小さいものを選ぶ必要がある」という話をバイト仲間によくしていました。
そうすると、いざ再出発の日になると、みんな気を遣ってくれます。
実際は「応援してくれる」という気持ちだけ貰えたら本当は十分で、何もいらないのが本音です。
しかし、僕に対して反目な人もいます。
「漬物石にみんなで寄せ書きして、再出発の日に渡すよ」と言われた時は、「いらん!」とはっきり断りました(笑)。
大場祐輔 1981年埼玉県生まれ。 大学在学中にプロレスラーの大仁田厚が「徒歩日本一周」に挑戦したことに衝撃を受ける。 卒業後すぐに「徒歩日本一周」に挑戦。
2003年、東京ディズニーランドからスタートし、毎日平均40キロの距離を歩き続ける。
旅先でお金が無くなれば、住み込みでアルバイトをしながら食いつなぎ、スタートから721日目の2005年3月22日、東京ディズニーランドにゴール。 徒歩日本一周をやり遂げた。同年11月より日本一周記の書籍化のために奔走。 数々の出版社に原稿の持ち込みを開始。
それから5年後、出版が実現。 「信じた道がいつか本当の道になるように―ガチで徒歩日本一周721日の旅―(彩雲出版)」を出版。
「俺が断念したことを彼はやりとげた―大仁田厚さん推薦」